日本の高齢者の生活環境を考えたとき、介護と医療を賄う財源が不足する問題と、介護と医療を担う人材不足の問題は、2025年以降も有効な解決策が見えないまま悪化しそうだ。
そのため国は公的介護保険サービスの質改善に努めてはいるが、基本的には家族介護が中心となる在宅介護を推進することを対策の中心としており、この方針は今後も変わることがないだろうと思われる。
その結果、厚生労働省そして国土交通省から発表された2020年(令和2年)の実績データから推察すると以下のようなことが見えてる。
要支援あるいは要介護の認定を受けた人の中で、家族による介護がなくても安心して暮らせる施設や高齢者住宅に移り住んだ人たちは、全体の3分の1だった。
残りの3分の2の人たちは、住み慣れた住まいの中で暮らし、家族による介護または訪問ヘルパーや訪問看護、デイサービスなど在宅介護を受けて暮らす高齢者だ。
住み慣れた家で暮らし続けたい、この思いに寄り添った形になっている!
素晴らしい社会保障制度だ!
と思いたいところだが、本当に喜んでよいのだろうか?
この両者をよく比較してみると重大な問題が存在しているにもかかわらず、介護保険制度の方針変更どころか検討すらされていないように見える。
まずは前者の3分の1にあたる人たちは、具体的には有料老人ホームや特別養護老人ホーム、グループホーム、サービス付き高齢者向け住宅、介護療養型医療施設などの集合施設で介護の専門職の人たちからサービスを受けている人たちであり、身寄りがいない人や家族が遠く離れて住んでいる人でも、また介護度が高い人でも、その人に合った所であれば、なんら問題なく暮らしていける。
一方後者の3分の2にあたる大勢の人たちは、基本的には家族による介護が中心となり、必要な分だけ公的保険介護サービスが補う形となっているため、家族への負担は想像以上に大きく、親の介護と真剣に向き合う子世代の多くは、仕事と介護の両立に苦しんでいる。
家族も最初は住み慣れた自宅での介護をと、望んで取り組んでみるが、認知機能の衰えが激しくなるに従い、自宅での介護の限界を感じ、仕事を辞める選択をする人が後を絶たない。
このようなケースの場合、当然介護の質も落ちることが予想される。
さらなる問題は、3分の2にあたる人たちの中に、家族や親戚による家族介護が困難な環境にあっても、本人が入居を強く拒んでいるケースがあるということ。
住み慣れた自宅での家族介護による家族の負担の影響をまとめてみると、以下のように家族の人生に大きく影響することがわかる。
3分の2という数字が、国の施策による、誘導による結果が大きいとなると、施設に入った人と入れないで苦しんでいる人の格差、不公平が問題になってくるのではないだろうか。
国民ができることは、遠慮なく施設や高齢者向け住宅を選択できる権利を主張するべきであり、中立的立場で介護のプランを立てているケアマネージャーは家族の負担を十分考慮し、公平に介護プランを提案すべきだろう。
国や自治体の政策誘導で、必要な高齢者まで施設に入れないようなことがあってはならない。
わかっているだけでも介護離職者が年間10万人を超えている。認知症高齢者も増加傾向にある中、不公平な制度が原因で介護離職による経済的格差が発生するような社会にだけはなってほしくない。
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2024.11.07