この記事の目次
介護施設に空きがない
最近の介護相談を見ると、親を入れたいと思っている施設は全て空きがない、どこも10人以上待ちの状況で困っている、という内容が多くなってきました。
認知症の症状が進んでも、入居待ちの状態が続くと、介護している人の健康状態を心配しなければならないでしょう。
記憶障害だけなら、落ち着いて対応はできますが、言葉や行動が暴力的になったり、ご近所に迷惑をかけたりといった問題行動が激しくなると、とても危険な状況と言わざるを得なくなります。
施設運営側も、グループホームや特別養護老人ホーム以外は、認知症の症状がひどい場合は受け入れない場合もあるでしょう。
じっと我慢せず、早く施設に入れるよう次の手を打つ必要があります。
知っておくべき対策
認知症介護の相談内容をよく確認すると、症状と介護認定が合っていない、と思われるケースが多いように感じられます。
要介護1、場合によっては要支援2の方で、認知症の症状が進んでいるが自宅で暮らしている高齢者にありがちな、困ったケースです。
認知症があり介護度が低いと、経営上の利益の問題で施設側はあまり受け入れたくない、家族は利用できる介護サービスが限定されるため、家族の負担が大きくなります。
このようなケースで困っている場合は、担当のケアマネに依頼し、区分変更申請をするべきです。
要介護1が2になれば、デイサービスやショートステイの利用回数も増え、家族の負担がかなり楽になります。
本来なら、施設に入るべき状態にもかかわらず、施設に空きがないとすれば、空くまではショートステイやデイサービスを利用し、施設に空きが出るまでは少しでも家族負担が少なくすることが大事です。
要支援2や要介護1では、そのように介護サービスを利用しようとすれば、自費サービスが増えてしまうため、さらに経済的ストレスがかかってきます。
これから、認知症高齢者が増え、介護人材の確保が困難な時代になるため、施設に入居したくても何十人待ち、何年待ちという問題が大きくなるのではと危惧されます。
いつか考えればいい、子供や他人の世話になりたくない、ではなく将来からだの自由が利かなくなったときのことを、家族と一緒に話し合い、早めの準備をするべき時代になったということです。
これは私の予想ですが、75歳を過ぎた高齢者の4人に1人は認知症で苦しむと思われます。
何度もコラムで申し上げてきましたが、認知症のあるなしで、介護はまったく違うものになるということ。
認知症がなければ、多少体が不自由になっても、家族で介護は十分できます。認知症がなければ、介護を通じて新しい幸せな親子関係を築くことも可能です。
しかし、認知症が進むと状況は一変し、24時間体制で見守る必要があると考えた方がよい、つまり専門家のいる施設での生活が必要になります。
このことを十分認識して、準備を進め、変化に合わせて柔軟に対応できるようにしておくが大事です。
2022.05.21