母がサービス付き高齢者向け住宅「あおぞら」に入って1年が経った

 

もう3年ほどたっているように思えてならないが、1年前のできごとで、将来も色あせることはないだろう。

 

かたくなに施設に入ることを拒んでいた母も、なんとか「あおぞら」に馴染んでくれた。

入居した日は、誰も見てはいないが、どこかで転倒して後頭部に大きなタンコブをつくった。

 

半年ほどは、ご飯はどうしたら食べられるのか心配で、親戚中に電話していた。

 

お風呂を嫌がり、最初のころは月に2回ペースだった。

 

母はいろんな素の姿を見せてくれ、身をもって私にたくさんのことを教えてくれた

 

母が認知症を患い、その母を見てきた息子として、この1年間の出来事を経験し、あらためて心の底から伝えたいことがある。

 

認知症の高齢者が、自宅で暮らさなければならない、こんな不幸があってはならない。

認知症の高齢者が施設に入りたくても入れない、こんな不幸があってはならない。

 

一人暮らし、あるいは老々介護といった環境に住んでいる認知症の高齢者がいる、とんでもない話であると、心から叫びたい。

 

家族の認知症で考えられるリスクはたくさんある

 

大家族で、たとえ配偶者も子供も孫もみんなが一緒に暮らしたい、と思ったとしても、様々なリスクは考えておいたほうがよい。

 

おれおれ詐欺の対策について、テレビの映像や公共機関に貼ってあるポスターで、その種類、注意すること、様々なことが訴えられているが、

認知症の高齢者には、まったく全く、まったーく効果がない!

 

一人暮らしや老々介護の環境で、少しでも認知症の疑いがある高齢者の世帯は、特殊詐欺から狙われ放題だ。

 

そして乾燥した冬の季節、特に気になるのは、高齢者世帯の火事の報道が多いこと。

 

母もそうだったが、鍋に火をかけて忘れてしまう、家にある電化製品の使い方がわからなくなる、火事にならなくても大けがの心配の種は、家じゅういっぱいである。

 

車を運転していてアクセルとブレーキを間違える高齢者ドライバーの、なんと多いことか。

 

家族による虐待や殺人事件、介護疲れによる心中事件など、今後どれだけ増えていくのだろうか。

これらの事件や事故は被害が大きいと、多くの他人を巻きこむことになるから怖い。

 

そして家族の人間関係についても、簡単な話ではない

 

育ててくれた親のことを思い、優しい気持ちで介護をしていた子供や孫が、その親から泥棒呼ばわりされたら、子供や孫はどんなにショックを受けるだろうか。

 

認知症がすすみ、家中が異臭や汚れがひどくなった状態で、本当に一緒に暮らすことができるのか。

 

多くの人の命の危険と家族の絆がこわれる、この社会的に大きなリスクを考えると、専門家が適切に見てくれ、お世話をしてくれる施設か高齢者向けの住宅に早めに移るべきだろう。

 

介護の期間は少なくても5年、長ければ15年、20年と続く。

 

家族みんなの幸せを考えると、施設介護はとてもありがたい存在。

 

私はコラムや「僕の久子さん」を通じて、同じことだが何度も伝えていきたい。

 

認知症介護を甘く見てはいけない!

2022.03.26

カテゴリー:認知症