亡き父が教えてくれた!?
父が亡くなって何年もたったある日、マンションの管理人さんから突然電話があった。
『部屋から煙が出ていて、ご近所のご夫婦が久子さんを助けてくれました!』
とのこと。
やばい!!!!!!!!!!!
ぼくの頭の中は、その日あったことをすべて忘れてしまうくらい久子さんの想像でいっぱいになった。
すぐに駆けつけるとガスコンロの魚を焼く部分は無残にもガラスが割れて真っ黒だった。
久子さん自身は、何があったのか全く覚えていないのか、覚えていないふりをしているのか、
私の質問にも、
『何か用事があって来たんか?こんな時間に来るなんてめずらしいね。』
と答えるだけだった。
恐怖におびえているのでは?と心配したが、部屋も台所以外は何もなかったこと、何より久子さんの元気な姿を見て、
阿弥陀様、キリスト様、ご先祖様、おやじ、おじいちゃん、おばあちゃん、
いろんな人たちの顔や絵を浮かべて最高の感謝の言葉を並べた。
『神様仏様久子様。。。ありがとう』
ドアの隙間から煙が出ているのを見つけてくれたのは、隣近所の方ではなかった。
同じフロア内でも、10軒ほど離れた部屋に住む、優しそうな品のあるご夫婦。たまたま部屋の前を通りかかったのそうだ。
何はともあれ、菓子折りをもってご夫婦の部屋を訪ねた。
ご夫婦がおっしゃるには、部屋の中は1m先もよく見えないほど煙が充満しているそんな中、久子さんは呆然と立っていたそうだ。
すぐに台所のコンロの火を止めたので、事なきを得たが、
あと数分遅れたら煙に火がついていたでしょう。
とのこと。。。
感謝しかない。
お話を伺いながら、何度頭をさげただろう・・。
このご夫婦が、母を、そして我が家を守ってくれた。
ぼくは決心した。
首に縄をつけて、引きずっても、泣き叫んでも、心を鬼にして久子さんを施設に入れよう!
2022.02.22