「うちの親はまだ元気だから大丈夫」と思っていませんか?
介護保険法に一部改正の法律案が参議院本会議で可決され成立した。
中山間地域、つまり平地が続いている移動しやすい所ではなく、山間地に向かう傾斜地や山あいの狭い道が続くような地域、または人口減少地域を対象に、介護保険制度に「特定地域」という考え方が追加された。
このような「特定地域」が抱える、介護サービスの需要が少ない、移動に時間がかかる、介護人材の不足などの問題から、サービスを提供する事業者の閉鎖が増えている、近隣にサービス提供者がいない課題を解決しようと、令和8年6月に法律改正案が成立し、来年4月の施行が予定されている。
この法律案の中身を見ると、居宅介護サービスの提供に関して、事業者が事業を継続しやすいような報酬体系に、また少ない人数でもサービス提供が可能なようにと、いくつかの法的基準を緩和するものである。
居宅介護サービスとは、つまり、住み慣れた家で住み続けるための、主に訪問介護サービスが継続できるように考えられた法改正である。
この記事の目次
「住み慣れた家での継続」は根本的な解決策になるのか?
もちろん、この内容は重要な点をついており、必要な改正だ。
しかし、このような地域に住んでいる高齢者、とくに近くに身寄りがいない、あるいは高齢者だけの世帯に対しては、小手先の対応であり、根本的な解決策とは思えない。
なぜなら、地震や、豪雪や豪雨などの自然災害が多く、特殊詐欺や強盗など高齢者世帯をねらった犯罪も社会問題になっている、このような日本の中山間地に高齢者が住み続けること自体、それでよいのか考えるべきではないかと、筆者は思う。
ご先祖様から引き継いだ大切な家を守りたい、この家から出たくない、そのように思う気持ちは尊重したい、が、そのためには、福祉や医療、そして介護を提供する人たちの大きな犠牲を払うことも考えなければならい。

医療・介護従事者の負担と、これからの高齢者の「住まい」のあり方
もし、中山間地に住んでいる方々が、皆さん協力的に、サービス付き高齢者向け住宅等に移住してくれると、サービスを提供する側は効率的によい医療介護サービスを提供できる可能性が高くなり、行政も見守りやすくなる。
入居する費用や毎月かかる費用を出すことができない、という国民年金で暮らしている高齢者も少なくないので、そのような方々のためには、特養にあるような、費用負担を軽減する制度を適用すればよいと思う。
とにかく、医療介護人材不足の中、一軒一軒、遠くまで通ってサービスを提供する負担の大きさ、災害や犯罪の対策、すべてにおいて、まばらに点在する居宅には困難な対応が強いられることを、よく考えた政策へと舵を切るべきだろう。
求められる国や自治体の方向修正
住み慣れた家にできるだけ長く住み続けられるように、健康に気を付けて暮らしている、お元気な高齢な方々が、もし、介護が必要になったり、住んでいる地域が豪雪や豪雨で危険な地域に指定されているような場合は、遠くに住む家族が安心できる、そして地域の医療介護従事者が働きやすい「住まい」に移住することを考えられるようにしてほしい。
少ない年金で暮らしている農家や自営業の人たちが、高齢者専用の「住まい」に移住しやすいような、費用面での仕組みを整える必要があるだろう。
介護度が低くでる認知症の高齢者も入居できる、24時間体制の特定施設も必要になるだろう。
このように、国や自治体の考え方も、「特定地域」には「住み慣れた家で」という考え方から「特定地域にあった高齢者の集合住宅」の考え方に方向修正をしてほしい。
遠くの実家を持つ私たちが、今日から動くべきこと
「うちの親はまだ元気だし、田舎のままで大丈夫」
そんな風に先送りしている間に、いざ介護が必要になった時、遠く離れた実家で突然起る、思わぬリスクがあなたや家族のキャリアを直撃します。
仕事に追われる毎日だからこそ、親が住む地域の現状や災害・防犯のリスク、そして将来の「住まい」の選択肢について、次の帰省のタイミングで一度家族で話し合ってみてください。
その一歩が、あなた自身の未来の危機を防ぎ、家族みなさんの豊かな暮らしに繋がるのです。
「諸行無常の響きあり」
世の中は常に変化している。
だからこれまではよかった、何の心配もいらない幸せな暮らしだった。
でも、人が年を取り体が衰えてくると、いつも苦も無くできていたことができなくなるのです。
家族みんなが協力し合い、将来においても安心して暮らせる方法を考えて、変化を受け入れことが大事なことだと思います。