育児・介護休業法によると介護休業はどのくらい取得できるの?
育児・介護休業法によると介護休業は、対象家族一人につき、通算で93日まで、上限3回までの分割取得ができるようになっています。
しかし、初めて介護問題に直面した人は、この休業日数の使い方と、その間にやるべきことなど、おそらく何にもわからないでしょう。
また、その間の収入、そして各種社会保険料や住民税の支払いについてはどうなるのか、従業員にとっては大きな不安を抱えることになります。
当然、仕事への影響がどの程度あり、自分が築き上げてきたキャリアが今後どのようになるか、とても大きな人生の分岐点に遭遇することになります。
人事労務担当者は要チェック
介護問題に直面した従業員が相談に来た場合、人事労務担当者がどのような資料を準備して、休業の取り方、その間の経済的問題を説明するのか?
そしてその人の上司が本人の仕事の内容と働き方についてどのように説明するのか、これらが合理的にわかりやすく説明できていないと、その従業員は一時的にでも楽になりたいとの思いから離職の選択を考えるのではないでしょうか。
介護問題と一言に言いますが、このように、介護する側、される側、所属する会社、この3つの関係をどのようにマネジメントするか?
非常に複雑で個別性に富み、人事労務担当者が片手間に対応できる問題ではない!ということです。
マニュアルのご紹介
厚労省のホームページには、介護と仕事の両立支援ガイドや介護支援プラン策定マニュアルが用意されているので、少なくともこれらを研究し、自社にあった資料を準備するべきでしょう。
https://www.mhlw.go.jp/content/000490099.pdf
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000119918.pdf
さらにわかりやすい動画が用意されていますので、従業員にも事前に見てもらいましょう。
しかし、過去の事例を見ると、社内の相談窓口だけでは実態調査に比べ相談件数が少なく、有効な介護離職対策を打つならば、社外の相談窓口を検討した方がよいでしょう。
ここがスタートライン
さて、本人が納得したうえで、仕事との両立を目指すことを決心し、上司と働き方を変える方法も決まった!ハッピーエンドでよかったよかった!ではありません。
ようやくスタートラインにたったのです。
そして大事なことは、いくら介護休業の制度があり長く休めるといっても、本人が直接介護をするために、長く休むことをさせてはだめです。
長く休むようになると、復帰が困難になり離職する可能性が高くなります。
自分が直接介護するのではなく、介護を必要とする人が住んでいる地域の地域包括支援センターや役所での手続きを完了させ、その方の自宅、あるいは施設で専門家による介護を受けて、
介護を必要とする方が安全に暮らせる仕組みをつくるための休業期間である。
ということを理解させ、できるだけ短期間で完了させることが重要です。
さらに大事なことは、介護は5年10年15年と長く続くことを想定しなければなりません。
介護が必要になった当初はできていたことも、徐々にできなくなる、あるいは意思の疎通ができなくなる等、状況が変わることを想定しなければなりません。
まとめ
上司も人事労務担当者も本人も、定期的に報告確認を行いながら、介護のマネジメントを適切に継続していくことが重要です。
介護休業もそうですが、介護休暇を半日単位、あるいは時間単位でうまく使いながら、担当するケアマネージャーや介護従事者との担当者会議に参加して、仕事との両立がうまく継続できるように、調整していくことが大事です。
そして男性の方に多いようですが、介護が必要になった高齢者の多くは、住み慣れたご自宅での生活を希望されます。
しかし家族全体の幸せを考えるのであれば、施設での生活に切り替えることをゴールに、マネジメントすることをお勧めします。
なぜばら、特殊詐欺、火事、交通事故、虐待、近隣への迷惑行為、などなど高齢者をめぐる環境は非常に危険で、他人を巻きこむ大きな事故が多発しているからです。
もし、施設への入居がきまれば、家族が月に数回程度の施設訪問で、お互いに安心した生活を送ることができ、職場への完全復帰が可能となります。
2022.05.10