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高齢者の住まい「老人ホーム」の知られざる実態
高齢者の住まいを表す代名詞となっていることば、老人ホーム。
よく耳にする機会が増えていますが、ではその実態について、一般の方々はどの程度ご存じでしょうか。
様々な種類があり、その方の健康状況や生活習慣によって、合う合わないがあること。
そして、サービスの評価に大幅な違いがあること。
中には老人福祉法に違反して無届けの老人ホームがあること。
高齢者が安全に暮らすことができて、家族が安心してあずけられるようにと、誠実に取り組んでいるところと、利益優先で国や自治体が決めたルールに対してもグレーなところ、さらには監視を逃れるために届け出をしていないところがあること、少なくともこのような実態だけでも知っておいてほしいと思う。
よくわからないまま、料金の安いところが空いていて、予算の範囲内だったので決めて入ってみたら、予想していた生活と違い不自由な思いをしている、あるいは聞いていたのとはまったく違った費用がかかっている。
こんな所早く出てしまいたい、早く天国にいきたい、このように感じている人は少なくないかもしれません。
認知機能の衰えがなく、お元気な方々にとっては、老人ホームの選択を間違えると、少しでも楽しく豊かな生活を送りたいと思っていた希望が、はかなくも消えてしまい、泣き寝入りせざるをえない状況に追い込まれてしまいます。
また、残念ながら認知症を患ってしまった高齢者にとっては、悪質な老人ホームは、身体拘束や虐待につながるケースも少なくありません。

「サ高住」の頭打ちと「住宅型有料老人ホーム」急増の背景
このような残念な実態は、何万件とある「高齢者用の住まい」の中のほんの一部のこと、と信じたいところですが、筆者は、政府が公開しているデータに見られるある傾向に、この業界の企業倫理に対して憤りを感じているのです。
それは「住宅型有料老人ホーム」の件数が顕著な伸び方を示しているのに対して、「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」の件数の伸びがここ数年頭打ち状態にあること。
どうして民間企業は、建設に多額の補助金を得られるサ高住よりも、住宅型有料老人ホームの方を開設する傾向にあるのか。
近年の物価高騰や人材不足の社会問題から、施設は運営経費との闘いに追われ、利益率の低下を抑えることは困難な状況であることは容易に想像できます。
また3年に一度の法改正は経営の安定化を困難にする要因でもあり、経営者は常に経営改善を求められます。
このような背景から考えると、法令上の規定がないため、自治体による監視や指導も行いづらい状況にある「住宅型有料老人ホーム」は、余計な費用をかけないような工夫ができやすく、法改正の影響も受けにくい、つまり利益を出しやすい構造になっているのだろうと、筆者はサ高住の経営経験からこのように想像しているのです。
制度上の定義の違い:「介護付き」「住宅型」「サ高住」
では、住宅型有料老人ホームとサ高住は何が違うのか、もう少し詳しく見て見ながら、筆者の憂慮している点をお伝えしたいと思います。
まず老人ホームですが、大きく2つに分けられます。
ひとつは、24時間体制で専任のケアマネージャーによる介護プランが作成され、国が定めた厳しい人員基準のもと、手厚い公的介護サービスを受けられる「介護付き有料老人ホーム」で、自治体で必要件数が決められており、勝手に開設運営ができないホーム。
そしてもうひとつは、食事や洗濯掃除、排せつや入浴など、どれか一つでも行っていれば届け出が必要となり「住宅型有料老人ホーム」として分類され、届け出さえすれば比較的自由に運営ができるホームです。
それではサ高住とはどのような住まいなのかというと、国は、部屋の面積や介護専門スタッフやサービスなど一定基準を満たした、自治体の監視や指導が行き届く質の高い高齢者の住まいを整備する目的で、サービス付き高齢者向け住宅の制度を2011年から開始しました。
無届けの悪質な有料老人ホームを排除して、「サ高住」という制度に集約して、住み慣れた地域で高齢者が安心安全に暮らせる「住まい」を、2025年問題の対策の柱として、必要とされる部屋を構築する算段だったのです。

歪むデータと、今後の法改正による規制の見通し
しかし制度開始当時の、2025年度までに60万戸を整備する目標が、2024年度ではその65%ほどに留まっているのが現状です。
つまり経営する企業側の視点からすると、利益優先で介護の事業を行うには、「サ高住」よりも「住宅型有料老人ホーム」の方が運営しやすいことを経験上わかっていて、そのことがデータに現れている、ということが見えてくるのです。
政府は、現在この住宅型有料老人ホームについての規制の見直しを行っているようなので、次の法改正では、なんらかの厳しい法令上の規定が制定されるものと思われます。
法律やルールの網をくぐって、利益を必要以上に確保しようとする企業の行為は、高齢者の生活環境を悪化させることに繫がる行為であり、社会的責任やコンプライアンスを軽く考えている企業と言わざるを得ないでしょう。
もしそのあげた利益が、介護職員の教育や給与に還元されず、経営者だけが潤う構造だとしたら、、、
過去から介護の業界は、悪質な個人による痛ましい事件が相次いだ歴史があり、高齢者の財産や公費をねらった輩が、この世界にはびこる傾向にあります。
法による規制と監視、そして職員の教育はとても大事なことです。
それよりも、もっと重要なことは、経営者の教育と、悪質な経営者が入ってこれない仕組みが必要ではないかと、このように思わざるを得ない現実に、企業経営やリスク管理等を経験した筆者は、悲痛な思いがぬぐえないのです。
介護のサービス提供を生業としている経営者に問いたい、あなたは自分が介護を受ける立場になったとき、自分が手掛けてきたサービスを受けたいと思うか。