2025年問題

2025年が始まった。

何年も前から2025年問題が叫ばれ、介護問題を中心に日本の高齢者の生活にまつわる様々な問題が表面化していますが、有効な解決策もなく2025年を迎えてしまいました。
それぞれの家族が、そして一人ひとりの高齢者が、今後どのように暮らしていきたいのかについて漠然としたままでは、多くの人や家族が思いもしなかった苦難に巻き込まれるかもしれません。

 

いくつになっても人生を楽しみたい!この願いをかなえるキーワードは認知症予防だと思います。

 

認知症を早く発症してしまうと、とつぜん想像を絶する苦難に家族は巻き込まれ、しかも長期間にわたりその苦難は姿を変えながら襲いかかることになるでしょう。

 

日本人の平均寿命を考えると、多くの人が80代から90代を経験することになります。

 

健康な人でも80歳を過ぎると認知機能の低下を防ぐことは困難で、日常生活にやや支障をきたす軽度の認知症から一人では生活できない重度の認知症と、人によって異なる様々な症状を経験することになるでしょう。

 

人生100年時代、認知機能を維持するための生活習慣を積極的に取り入れていかなければいけない!認知症は他人事ではない!と私は考えています。

 

認知症予防に有効なもの

 

たとえば読書とか。

 

ここ数か月のこと、私にとって初めての経験ですが、読書を通じて心の琴線に触れる何かに共振している、そんな自分がいることを感じていました。

 

それは感動や喜びという表現とは違う何かで、夢中になり関係する書籍をネット通販で揃えました。

 

皆さまの中で、中谷治宇二郎(なかやじうじろう)という考古学者をご存じの方はいるでしょうか?

 

近年、日本の縄文文化が見直され、令和3年7月「北海道、北東北の縄文遺跡群」がユネスコ世界文化遺産に正式登録されました。

 

5000年から1万年ほど前という気の遠くなるような石器時代の人々の暮らしの様子が見て取れて、確実に日本にはそのような文化があり、世界的にも評価が変わってきているようです。

 

これらの調査は戦後から始まり、主に昭和40年代の高度成長期の開発工事にともない多くの遺跡が発見され発掘調査が進んだものですが、実は昭和の初期、1930年代に1人の若い考古学者が日本中の遺跡を調査し、多くの土器や石器とともに優れた論文も多数残しているのです。

 

無名に近い考古学者ですが、その人こそ中谷治宇二郎であり驚くほどの才能を持った人物なのです。

 

残念ながら34歳という若さで夭逝してしまったため、専門家の間では日本の考古学の発展が何十年も遅れたと言われています。

 

では中谷宇吉郎(なかやうきちろう)という科学者はご存じでしょうか?

 

おそらく雪の結晶の研究で、教科書などにも載るような世界的に有名な科学者なのでご存じの方が多いと思いますが、実は中谷治宇二郎は宇吉郎の弟なのです。

 

突然ですが、芥川龍之介、寺田寅彦、岡潔、岡本太郎、世界的にも有名な偉人の名前をあげてみます。

 

 

この4人は専門分野が違うので、どのような関係があるかと考えると一見不思議に思えますよね。

 

ではこれらの偉人は少なからず、中谷治宇二郎という無名の考古学者から影響を受けていると言ったら信じられるでしょうか。

 

私はこの信じられないような繋がりに魅了され、関連する書籍があればすぐに買い求め、今では10冊ほど手元に置いて、毎日のように新しい知識が増えていくことを楽しんでいます。

 

私の人生で読書はどちらかというと、教養を身につけるための修行のように、楽しむというより月に何冊を読むんだというような苦をともにしたものでした。

 

しかし中谷治宇二郎を知るようになり、もっと知りたい!という好奇心が芽生え、複数の本を同時に読むことで、100年ほど前のできごとが多面的に浮かび上がって通じ合う、そしてその中に自分もいるような感覚を味わうことができたのです。

 

今では電車の中の様子は大きく変わり、読書をしている人はたまに見かける程度で、乗車している8割以上の人がスマホを見ているのではないでしょうか。

 

動画配信サービスが便利になり、楽しい興味のある動画がいつでもどこでも簡単に見ることができます。

 

動画は意識しなくても映像が目から入り言葉が耳から入り、理解することにそれほど時間はかかりませんが、読書は字を読むことから始まるため、漢字の読み方や言葉の意味、文章のつながりなど、理解しながら読み続けるには相当のエネルギーを消耗します。

 

また表紙の絵や写真をもとに、風景や人の形、色、温度、におい、感触、音、そして感情を想像しているので、脳はたくさんの部位が連動しながら有機的に働いているでしょう。

 

中谷治宇二郎をもっと知りたい!という知的好奇心から、衝動的に本を買いあさり複数の本を読みこんでいくという今回の経験は、私の脳が喜んでいるから自然に迷いなく出た行動であり、脳は休ませるより喜ばせて働かせておけば機能はおとろえない!という私なりの確信を得ることができました。

 

脳はまだまだ未知の世界で、認知症の予防や治療研究は十分進んでいるとは言えませんが、感動や喜びがあり、あっという間に時間が経ってしまうほど集中するなどのことは脳にとても良い影響を与えるといわれています。

 

逆に以下のポイントは、

脳の血流が悪くなる、脳の血管を痛めるなどの理由から認知症リスクが高いといわれています。

・高血圧、血糖値が高い、高脂血症など生活習慣病を持っている
・喫煙習慣が長い
・室内に閉じこもりがちで人としゃべる時間が短い、そして運動不足
・低血圧または貧血、血行障害などで脳に十分な酸素が届いていない
・歯槽膿漏や入れ歯が合っていないなど、十分噛んでの食事ができない

 

人生100年時代といわれる現代においては、認知症の予防や治療についての研究は十分とはいえないため、個人個人が脳に悪いものは避けて、脳によいものを積極的に取り入れていく、このような努力が必要です。

 

認知症の症状は人間の尊厳を大きく犯し、心身ともにあまりにも過酷な終末期を強いられてしまうことを認識して、明るい幸せな生活を想像しながら、読書や運動など脳によい刺激を与える生活習慣を心掛けていくようにしましょう。

 

考古学者:中谷治宇二郎(なかやじうじろう)についてはこちら

中谷治宇二郎と偉人たち

2025.01.28

カテゴリー:認知症