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生活習慣でできること
久子さんの人生を振り返ってこんなに手先が器用で、人のお世話が好きで、よくしゃべる女性が、まさか急に認知機能が衰えてくるなんて家族や親戚の人は想像していなかった。
仕事柄、ぼくだけはこんな人が認知症になると、とても厄介だろうなぁとは思っていた。
どのような人が認知症になり、どのようにしたら予防できるかは、医学的にはっきりしたことは誰もわからない。
ただし、高血圧気味の人、糖尿病の家系の人は認知症リスクは高くなるので、生活習慣を見直して、食事や運動に気をつけた方がよい。
久子さんは血圧がとても高かった。
多くの人は毎年健康診断を受けているだろう。
しかし、その結果を見て自分でどこが弱いのか、どの程度悪いのかをはっきりと認識している人はどのくらいいるだろう?そしてその結果から、生活習慣を変える、あるいは治療を受けている人はどのくらいいるのだろう?
元気なうちは気がつかないが、体は徐々に徐々に変化していく。
その兆しを知ってどこかで変えることの重要性を知ってほしい。
歳をとれば癌になるかもしれないが、現代においては癌はいろんな治療が開発され、仕事や人間関係など社会性においては昔ほど問題は大きくない。
しかし、認知症は格段に問題が大きい。
何よりもつらいことは人が離れていくことだろう。
家族や親戚、そして友人、これまでどんなに楽しい関係を作ってきた人でも、認知症が進んでしまうと、本当に寂しい状況に追い込まれてしまう。そして生きていることに疲れても、どうにもできない。
いろんな病気があるが、病気になっても意思の疎通がとれていれば、気の持ちようによって、幸せな生活もできる。平均寿命を超えるくらいの歳になり、体力が衰えて行動範囲が狭くなってきたころに、認知機能が衰えてくることは、自然ななり行きであり、大きな問題ではないだろう。
老後の本質
久子さんの認知機能の明らかな衰えを感じてから約10年になるが、自分で言うのも恥ずかしいが、虐待に発展せずよくここまで面倒を見てこれたと思う。
久子さんの健康診断の結果から考えると、あと10年は生きてくれるかもしれない。
でもあおぞらという高齢者住宅で生活してくれているので、あと10年と言ってもそれほど苦ではない。ただし、ぼくの認知機能が衰えないという条件が付くことを忘れてはいけない。
なんてたって、久子さんはまだまだ生きるだろう。何度も綴っているが、本心をいえば10年ではなく、100歳まで元気な笑顔をみせてくれるだろう。
だからこそ、ぼくの全力全開機能のために、愛する妻の栄養満点の食事をいただく。
そのためには、妻に栄養満点の『配慮』を、と心に決めているのである。
2024.05.12