介護の連携
久子さんの入れ歯が少し合わなくなっていて、硬いものを食べる時、痛がっているようです。少し削って入れ歯が合うように形を調整しようと思いましたが、久子さんに拒否されたためできませんでした。次回来た時またやってみようと思います。
○○先生、いつもよく診ていただき本当にありがとうございます。母にはよく言って聞かせましたので (でも忘れていると思いますが) 次回の訪問時、入れ歯の調整よろしくお願いします。
これは久子さんがあおぞらに入所したとき作った連絡ノートの、最近の書き込みだ。
訪問看護の看護師さん、訪問歯科の皆さんが、その時々の様子や困ったことなどを書いてくれる。
家族にとってこんなに有難いものはない。
普段一緒に居られない母親、体力も落ち介護度も上がるだろう、そんな心配があっても、看護師さんや歯科医師さんが診てくれた様子を書き込んでくれるのだから、安心感は半端ない!
何より健康に問題があれば、早く気がつき早めの対応できるからだ。
久子さんがあおぞらに入所して来年の2月で3年が経とうとしている。
連絡ノートは2冊になったが、読み返してみて改めて感じたことは、健康上の問題は少なく、圧倒的に多いのは久子さんの認知症の症状が起こしてくれる生活上のトラブルについての書き込みだ。
おそらく、施設のスタッフによる細かい気配りや対応、栄養バランスの良い食事、そして医療介護従事者との連携、これらがうまく機能しているから、健康上の問題は少ないのだろうと思う。
認知症の問題も家族が介護していたら、口論になったり、話しかけることをやめたり無視したりと、おそらく症状は悪化するだろう。
あおぞらのスタッフは、少なくともぼくよりも丁寧に優しく、あの繰り返し口撃してくる久子さん節にも対応してくれる。だから久子さんは元気なのだ!
入所した頃はガラケーを使っていた久子さんだが、とっくにガラケーは解約し、もちろんスマホなんて持っていない。それでも家族が安心していられるのだから、有難い。
今日はコンビニで買ってきたプリンを、美味しい美味しいと繰り返しながら、ペロリと食べた。
「歯茎と入れ歯が当たって痛くないの?」
「痛くない」
「今は痛くなくても、歯医者さんが月に一度来てくれているから、その時は入れ歯を調整してもらってね」
「うんわかった」
本当にわかってるのかなあ?
連絡ノートには祈るような気持ちで追記をした。
訪問歯科のみなさま、どうか、どんな言い方をしてもらってもかまわないので、母を騙しだましにでも、入れ歯を調整してください。
2023.12.11