住み慣れた自分の家でずっと暮らし続けたい、このような思いは多くの高齢者が抱く本音だと思います。
また、ご家族もその思いをかなえてあげたいと考えているのであれば、とても幸せな終末期を過ごせるのではないでしょうか。
認知症を発症した時は、専門家がいる施設での介護の方が適していますが、そうでなければ、ご家族が近くにいて自宅での公的介護保険サービスを受けることが、仲の良いご家族がさらに幸せな関係を築けるよい環境と言えるでしょう。
そして、日本の介護保険制度には、そのような家族を応援するサービスが数多くあります。
デイサービス
高齢者は体が弱ってくると、お風呂に入ることが面倒になり、なかなか入ろうとしなくなります。
ご家族が介助して入浴を手伝うことは、毎日ではなくても大きな負担になります。
このような場合は、週に2~3回デイサービスを利用すると、慣れたヘルパーさんがきちんとお風呂に入れてくれます。
デイサービスでは入浴だけでなく、食事や体操、ゲームなど多くの人とのイベントを楽しむことができます。
1日のデイサービス利用が苦痛という高齢者もいますので、半日だけ利用することもできます。
専門家による訪問サービス
高齢者の身体変化は急に悪化することもあり、健康状態は家族にとっては何より心配でしょう。
自立した生活をおくるため、また病気の進行を少しでも遅らせるためには、主治医だけではなく、他の医療従事者のサービスも遠慮なく利用しましょう。
看護師はもちろんのこと、薬のことは薬剤師、足腰や関節など動作に関する障害については理学療法士や作業療法士、食事については管理栄養士など、公的保険による訪問サービスをうまく使うと、それぞれの専門家が医師と連携をとってくれ、自立した楽しい生活を効率的に支えてくれます。
また、口腔内のケアは怠ると様々な病気の原因になり、定期的に訪問歯科を組み合わせることは高齢者にとってとても大切です。
ショートステイ
生活機能の衰えが進んだ場合、あるいは老々介護の環境など、それでもご家族の負担は大きくなります。
そのようなときは、ショートステイを検討すると良いかもしれません。
たまにはご家族もゆっくりしたい時もあるでしょうから、ショートステイで1週間ほどあずかってもらえると、ご家族は旅行に行くことができますね。
小規模多機能サービス
また、デイサービスや訪問介護を利用しながら泊まることができる小規模多機能サービスがあり、ご家族の負担軽減と利用者さんがいつまでも住み慣れた地域で暮らすために、ご家族から大変喜ばれています。
このように、高齢者が住み慣れた自宅や地域で住み続けられるように、公的保険制度には低価格で様々なサービスが用意されていますので、担当ケアマネージャーとよく相談して、終末期を、できる限り豊かな生活で、できる限りご家族とは幸せな関係で暮らせる様に工夫しましょう。
このような、高齢者が自宅で家族や地域とのふれあいを増やし、自宅で豊かに暮らし続けられる環境作りは、認知症の予防も兼ねて、これからの日本の高齢社会にとって大変重要な施策になっていくでしょう。
高齢者が住み慣れた自宅で暮らし続けることは、ご本人やご家族だけでなく、高齢化が進むことで財政がひっ迫する地域や国の願いでもあるのです。
2022.09.10