メディアの存在意義
安倍元総理が暗殺され、日本だけでなく世界中の人々が、深い悲しみと憤りを感じている。
そして、日本よりも海外の人たちの反応の速さに驚かされた。
海外の人々の言葉を借りると、安倍元総理は日本の首相という立場だけではなく、常に世界の平和や発展を考え行動していた、つまり世界のリーダーの中のリーダーだったのだ。
しかし、そのことを十分知っていた日本人は少なく、亡くなられた後の世界中の反応を見て、日本の政治家や著名人ですら初めて認識を新たにしたのではないだろうか。
なぜ安倍晋三元総理の功績が、日本人には十分に伝わっていなかったのだろう。
森友学園問題など、たしかに問題が無かったわけではないことは確かだ。
私も安倍元総理の疑惑を報じる報道を見ていて、強い権力を持ち歴代首相が出ている家系は、一般人と違う世界で動いているのかと、疑いの念が強くなる一方だった。
しかしである、今回のテロ事件後の様々な現象を見て、自分の人を見る目が曇っていたと嘆くとともに、テロが起こる時代背景として、偏重的な報道が要因の一つとしてあげられるのではないかと強く感じている。
忙しい公務の間に世界中を飛び回り、日本の良さを伝え、世界中の国々の発展と平和に尽くした事が、もっと報道されていたら、そして世界の多くのリーダーから尊敬されている事を、多くの日本人が知っていたら、今回の事件は起きただろうか。
犯人の頭の中にある安倍元総理のイメージが、尊敬するに値しない政治家、あるいは、裏では悪いことをしている権力者というようなマイナス側に大きく傾いていたとしたら、今回のテロ行為実行の間接的動機になっていたのではないだろうか。
どの民放テレビ局を見ても、朝と昼の時間帯、ほとんど同じような内容を長時間にわたり放送しているように感じ、テレビを見ていることが苦痛になることが少なくない。
コロナ禍や物価高、電力不足、ヤングケアラー問題など暗いニュースが多く、生活に苦しんでいる人が多いと思われる今こそ、メディアの伝え方が問われる時代だと言いたい。
明るいニュースが欲しい、元気や勇気がでる感動するニュースが聞きたい、がんばる人たちの声を聞きたい、私は毎日そのような思いでテレビを見るようにしている。
テレビ離れが進み、動画サイトに人気が集中する理由もうなずける。
ネコや犬のかわいい動画が、暗い気分をも変えてくれるように、人が主人公の明るい話題を探してほしい、そしてうまく伝わるように放映してほしい。
大谷翔平や松山秀樹のように世界で活躍するスポーツ選手だけでなく、世界で活躍できる政治家や企業人の話題がたくさんあるはずだ。
国内に目を向ければ、高齢者がいきいきと暮らす自治体のアイデア、思春期の子供たちが生き生きと学んでいる学校の取り組み、警察官や自衛隊の活躍、文化や伝統を守る取組、医療や介護現場で活躍する専門家、いたるところに明るいニュースが埋もれているように思う。
このような話題であれば、各局が同じことを放映すればするほど、よい取り組みが拡散し、平和で明るい社会を広げる効果があると言いたい。
先の見えない閉塞感に包まれた社会の雰囲気は、メディアのさじ加減次第で変えられると思うが、最近の報道内容は閉塞感を助長するものが多いように感じる。
日本でおこった安倍元総理の暗殺事件は、その背景を徹底的に分析して、警備の問題を解決するだけでなく、偏重的になる傾向の報道の在り方も見直してほしい。
世界から見ると日本は治安がよい国かもしれないが、平和が脅かされていると感じる日本人は多くなっているだろう。
少子高齢化は世界でも先端を走り、中高年が感じる閉塞感も大きい。
こんな時代こそ空気を変えられるようなメディアの存在意義は大きい。
2022.08.21