介護に関する入門研修

厚生労働省は2018年3月30日、各都道府県あてに、「介護に関する入門研修の実施について」という通知を出した。

これは介護未経験者が介護分野への参入の障壁となっていることを払拭して、多様な人材の参入を促進することを目的に、未経験者でも受講しやすい研修を実施し、介護の世界を知ってもらう内容だ。

 

企業で働いている人の参加も考慮し、1日3時間で受講できる基礎講座も用意されているところを見ると、目的にかなったよいカリキュラムになっているのではないだろうか。

この基礎講座に加えて入門講座が18時間、二つを合わせて21時間は、未経験者には適切なボリュームだ。

この21時間の研修を受けておけば、施設やデイサービスでは介護職員の一人として十分に働くことができるだろう。

 

そもそも介護職員とは、どのような資格をもった人たちを指すのか、厚労省のホームページには明確には定義されていない。

 

この2018年3月の通知で、未経験者を対象とした研修の案内を通知されたことで、無資格者の職員のあいまいさは払拭されたように感じるのは私だけだろうか?

 

それまでは、介護初任者研修と呼ばれる130時間の講義と演習を修了してはじめて、入浴介助や食事介助、排せつ介助など身体介護ができるようになり、あわせて一人で利用者宅を訪れて訪問介護を行う、いわゆるホームヘルパーとして仕事ができる資格が与えられていた。

 

今回の研修の仕組みを見ると、21時間にプラスして59時間の生活援助従事者研修を受けると、すべての介助とはいかないだろうが、掃除や洗濯、買い物などの生活援助の範囲で訪問介護ができるように工夫されている。

介護職員不足が叫ばれて久しいが、この研修制度をうまく活用できれば、介護分野に参入する障壁はかなり低くなるように感じる、とてもよい制度だ。

どちらにしても、今後の要介護高齢者、認知症高齢者の増加と、介護職員不足の問題解決は急務であることには間違いがないので、真剣に取り組むべきだろう。

 

さらに言えば、この短時間の研修を終了し、働きながら介護初任者研修130時間を修了した後、450時間の実務者研修も終了すると、介護福祉士という国家資格を受けることができる。

 

なんと、働きながら研修が受けられて国家資格が受けられるのだ。

 

お金をかけずに取れる国家資格

 

日本にはたくさんの国家資格があるが、お金をかけずに取得できる国家資格は他にあるだろうか?

 

介護福祉士の国家資格の合格率は高く、誠実に研修や実技を学ぶことで、定年退職した人や働いたことがない主婦など、中高年の多くの人が取得している。

介護福祉士の国家資格を持っていると、介護サービスの中で管理職やリーダー役の業務など多方面で活躍の場があり、健康であれば70歳を超えても給与は下がらない条件で働くことができるだろう。

また、介護福祉士として5年の実務経験があれば、ケアマネージャーの受験資格も与えられる。

ぜひ、多くの人が介護の仕事を体験してもらいたい。

そして、社会に貢献できて、安定した収入が見込めるキャリアアップの道を考えることで、幸せな人生設計をしてほしい。

介護業界はきついと思われがちですが、体験してみると、きっと、想像しているより温かい雰囲気を感じるでしょう。

でも、楽してお金だけもらえればいい、と考えている人には大変きつい職場になるかもしれません。

2022.07.15

カテゴリー:介護全般