認知症になる前に解決したい『 財産凍結問題 』とは?

認知症が進み判断能力が無いと判定されると、自分の財産を処分する場合、また相続人になった場合などは、成年後見人をたてる必要があります。

判断能力が衰えた人を保護・支援するため、平成12年に成年後見制度が制定されましたが、とても使いづらいようで、20年経過した今も利用率は低い状況が続いています。

2020年現在、成年後見制度を申請して家族が後見人になれる確率は約20%程度です。

家族以外の専門家による後見人をたてることになると、財産管理と介護サービスの選択については後見人の判断によるものとなり、
家族の意見が通るとは限らなくなります。

 

親が亡くなった時、家族が知らないまま「予想以上に介護費用がかかっていて、財産が残っていなかった」という話もよく聞きます。

特に、多額の財産を持っている方が認知症となった場合、
家族による横領を防ぐ目的から、後見人は家族以外の専門職の人がなる傾向が高いようです。

成年後見制度は一度利用すると途中でやめることができない

なので、簡単に後見人を変更することはできないこと、また毎月発生する後見人への報酬は被後見人が亡くなるまで続くことにも注意が必要です。

 

このようなことから、長い将来にわたり家族が幸せに暮らすためには、
高齢者が持っている財産を有効に使うことができる家族信託を検討することをお勧めします。

家族信託といえども、名義人の判断能力がないと判定されると使えませんので、元気なうちに契約締結できるよう家族との話し合いを進めましょう。

 

人生100年時代と言われていますが、75歳を過ぎると体の衰えも一段と進むため、危険な生活環境にさらされるリスクが高くなります。
一人暮らしや高齢者だけの世帯では、早めに介護保険サービスをうまく利用し、安全な生活を送るべきだと思います。

財産があるから安心とは限らない

介護の期間は最低でも5年、長いと10年以上になります。

費用はかなりの額になるため、自由に使える現金の準備をしておかないと、家族が費用負担することになります。

 

財産があるからといっても、不動産ではすぐには現金化ができないと思ったほうがよいでしょう。
超高齢時代、元気だと思っていても、突然認知症を発症する、または脳梗塞などの病気で倒れて、本人の意思確認ができなくなると、
いつなんどき財産が凍結される事態になるかもしれません。

 

家族信託のメリット

家族信託を利用すると、生きているうちの財産管理から亡くなってからの相続まで契約書に記すことができ、
元気なときの本人の意思を亡くなった後まで継続することができます。

家族信託のメリットは、

・贈与税がかからず財産の名義を信頼できる家族に移すことができる。
・信託した目的に沿っていれば、受益者のために名義人が財産を自由に動かせる。
・不動産も信託契約により所有者移転登記ができるので、通常の売却ができる。
・本人が亡くなった後も配偶者その他の家族にその受益権を移し、信託契約を継続することができる。

 

高齢者の健康状態が不安と感じたら、家族間でよく話し合い、財産のリスト化を行い介護にかかる費用を捻出する準備を進めましょう。

 

2022.01.20

カテゴリー:介護全般