2022年5月26日日経新聞朝刊の記事

規制改革推進会議の答申案が判明、が一面トップに掲載されている。
規制改革推進についての会議なので、医療や介護以外の分野も多く70項目の案を検討しているようだ。

介護分野では、施設の人員規制を緩和する案や、在宅医療現場での薬剤師に一部の業務をシフトする案、書類や書式を統一して、電子申請で一元化する案が検討されるとのこと。

いずれも、他の先進国の国民が聞いたら、何年前の話ですか?と驚くだろう。

特に書類や書式の統一による文書量を減らす話は、前にも私のコラムで書いたが、2016年の社会保障審議会介護保険部会の資料には、2020年までに半減するとしたスケジュール工程表が示されていた課題だ。

しかし、複数の現役ケアマネージャーに聞くと、処理しなければならない文書量はあきらかに増えているとのこと。

文書量が増えても、誰も見ない、つまり利用価値のない資料は、ゴミ以下である。

 

無駄で無理な業務となり、介護職員の長時間労働を推進し、働きたくない職場の原因を強化し、利用者への直接的なサービス料は減ることになるのだから、ただの紙ゴミではなく、持続的に悪臭が強くなるような、じわじわ汚染がすすむ最悪のゴミだと思う。

 

いったい誰がこのプロジェクトの責任者だったのか、何が障害になって文書量が増えたのか、監査して再検討されているのだろうか?

 

介護保険制度の保険者は市町村であり、都道府県は統括的に自治体の計画や体制整備などを負っており、政府の政策をもとに厚労省や様々な諮問機関が細かい施策案を作成し、政府が最終決定するのだろうが、介護現場の現状を見るとあまりにも稚拙な部分が見えてくる。

 

時代の変化スピードと高齢者問題

 

話は変わるが、山口県の阿武町の多額の給付金を間違って振り込んだ問題で、役所は銀行に振り込み内容を記録したフロッピィディスクを持ち込んだ、とあった。

 

おそらくこのニュースを聞かれた人の多くは、今時フロッピィディスクなんて使われているなんて、20年以上遅れていると感じたのではないだろうか。

 

時代は、利便性が高く効率的なサービスの開発が進み、その変化のスピードが速すぎて、様々な格差を生んでいるため、高齢者には逆に不便なことがあるだろうとは思っていたが、地方の自治体でこれほどまでにシステムが遅れるような、格差が生じているとは思ってもみなかった。

システムの一元化が進まない原因の一つには、行政が使用しているシステムの老朽化があげられるのかもしれない。

議員さんも若返りが進まないと、現代の進化についていけないだろう。

 

スマホを使っていない議員さんには、スマホを活用した行政サービスや公的保険サービスの管理運営は理解できないだろう。

阿武町のニュースを見て、介護現場の文書量が減らない原因が見えたような気がした。

2022.07.01

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