日本人の健康寿命
男女間で差はあるようだが、日本人の健康寿命は72歳から75歳ほどで、健康寿命を終え平均寿命までの年月は女性の方が長いようだ。
介護の施設やデイサービスを見るとよくわかるが、女性の方が圧倒的に多い。
また、配偶者が亡くなったあと、高齢女性が年金だけで施設介護を利用できる人は少ないだろう。
このように考えると、日本の社会保障制度は女性には厳しいのかもしれない。
やはり日本の様々な現状を思うと、老後の生活を少しでも豊かなものにするためには、健康寿命の延伸を考えることが、最も重要な老後に向けた準備であると言えよう。
多少は薬を飲んだり、医者にかかったりする事はあっても、自分のことは自分でできる、旅行や趣味を楽しむこともできる、つまり自立した生活を何歳まで送ることができるか、健康寿命は人生100年時代の重要なキーワードだ。
長い人生を想像し、ぜひ若い人たちには、健康寿命の延伸に対する意識を高めてもらいたい。
また、企業においては健康経営の推進の中に、健康で働くことが企業の生産性を上げることだけを目的とするのではなく、リタイアした後の第2の人生を豊かなものにすることも併せて強く主張してほしい。
100歳まで生きる人の健康寿命はいくつなのだろうか?
70代では辛すぎる、80代でも辛い、90代半ばまでは認知症の症状が出ないでほしい。
持って生まれた体質の差だけでなく、若い時からの生活習慣が大きく影響していることは間違いないだろう。
喫煙や暴飲暴食の習慣はぜひとも避けたい、学生時代の悪い習慣が残っていたら、30歳までに終了しよう。
口腔内の衛生に気を付けよう、特に万病の原因になる歯周病を予防するには、定期的に歯医者に通い、歯と歯茎の間の歯石をきれいに掃除してもらうことをお勧めする。
血糖値の高い人や血圧の高い人は、コロナ禍でも重症化しやすいと言われていたが、認知症になるリスクも高いので、健康診断の数値を確認しながら、食事と運動改善に努めよう。
とにかく、人間の体は取り換えのきかない消耗品、日々の適切なケアを心がけるほうが、長い人生を考えるとお得だ。
私はイソップ童話の『アリとキリギリス』が好きで、自分を良く戒めることがあったが、人生100年時代の第3コーナーを過ぎ最終コーナーを回ったあたりのことを示唆しているようにも思える。
従って現役時代の働き方も、現代の日本においては大きく見直す必要があるだろう。
有給休暇が取りづらく、長時間労働や長期間連続の出勤が恒常的に続いている会社など、もはや過去の時代の会社だ。
逆に、会社が望んでもいないのに、自ら長時間労働している従業員がいたら、上司や管理者は原因をしっかり追及し、直ちに改善させた方がよい。
従業員が長時間労働になる原因には、人手不足や、必要とする技術が足りないために生産性が上がらないことや、また家に早く帰りたくない個人事情など、様々な原因があっても、会社としては生産性が悪いことに間違いはない。
経営者は、『うちの従業員は残業や休日出勤をしながら、みんなよく頑張ってくれている!』と喜ぶのではなく、なぜそんな生産性の悪い仕事をしているのか?と疑問をもって、短時間で成果を上げる道を追求すべきだろう。
長時間労働が続く、あるいは十分に休みが取れないことによるストレスや疲労は、間違いなく生産性を損ない、恒常的になれば、従業員の健康寿命にも大きく影響するだろう。
将来の個人やその家族のためはもちろんのこと、会社のため、地域のため、日本の国のためにも、一人一人の働き方改革をすべての会社が推進してほしい。
2022.06.24