2025年問題にむけて介護人材が不足
平成28年9月7日の社会保障審議会介護保険部会の資料には、法令で定められている帳票を整理して、2020年初頭には介護サービス事業者の文書量を半減する、そのスケジュール工程表が示されている。
この時の部会は、介護人材の確保が議題だ。
つまり、2025年問題にむけて介護人材が不足するため、いかに介護の職場を働きやすくするかを協議している。
厚労省が考えた介護保険制度は、サービス提供にかなり多くの文書作成を伴うため、事務的業務の多さ、煩雑さが介護離職の原因にもなっている。
介護ロボットや人材育成の仕組みなど、働きやすい職場に変えるための対策はいくつか並んでいるが、そもそも厚労省が構築した構造的な問題を解決しない限り、他の方面から手を打っても、その効果は半減してしまう。
介護サービス提供のためには、調査、分析、計画、提供、モニタリング、変更、等々の工程があり、国民の税金と徴収した介護保険料が使われるため、きちんと確認できる証跡が必要だ。
従って、多くの記録が残され、データと文書が少なくとも数年間保存される。
2つの大きな問題
その中に大きな大きな問題が2つある。
1つ目:文書量が増えていく傾向にあること
作成した文書、その文書がファイリングあるいは山積みされた後、本人も含めて誰にも二度と見られない文書がどのくらいあるのだろう?と勘繰りたくなるくらい、介護サービスを提供する事務所には多量の文書が存在する。
ひとりの利用者に多くの事業所や医療機関までがかかわってくるので、文書やデータは必然的に多くなってしまう。
しかし、人間に与えられた時間は1日24時間で、法定労働時間も決まっている。
従って、文書量が増えれば増えるほど、作成に時間がかかり、情報を共有する時間や利用者に係わる時間は減ることになる。
2つ目:事業所が使うソフトはまちまちで互換性に乏しく、データ共有ができない
つまり、記録を残しても利用者に生かせる情報はわずかで、その他の多くは請求や支払い、許認可または監査の時のための資料だ。
だから、社会保障審議会介護保険部会で文書量を半減する計画を立てたことは、誰がみても当然のことである。
しかし、2022年現在、どのケアマネージャーに聞いても同じ答えが返ってくる。
文書量はあきらかに増えていると。
2025年、ケアマネージャーがいる事業所の書類の山が、どこまで高くなっているだろうか。
2022.05.16