総務省の介護施策に関する行政評価・監視の結果に基づく勧告書
平成30年(2018年)6月19日 勧告先:厚生労働省

総務省2018年の厚生労働省に対する勧告書によると、介護休業制度の情報が十分浸透していない、との結果が出ている。

 

介護休業が義務化され20年以上たっても、このような状況にあるのは、どこに問題があるのか?

 

いずれにせよ、介護離職問題は経営幹部が危機感を感じるほどには、表に出ていないということだろう。

 

それは、裏返せば、隠れ介護離職が増えている、ということになる。

〈5割以上の事業所において、制度改正の内容が就業規則に未反映〉

 

平成29年(2017年)1月施行の改正より、3回を限度に介護休業(93日)の分割取得が可能となったが、半数以上の事業所は、理解すらされていない。
分割で取得できることで、どれだけ使いやすくなったか理解してほしい。

 

〈介護休業を知らない、利用したことがない〉

 

家族介護者への調査で、介護休業を利用したことがない、とする者が95.7%
そのうち介護休業自体を知らない、とする者が63.4%

 

介護休業を利用していなければ、身体的、精神的な疲労感は大きく、仕事との両立は長くは続かないだろう。

 

パートタイムで働く人ならまだしも、ベテラン正社員が継続することは不可能に近い。

 

まとめ

 

このように、総務省が厚生労働省へ向けて出した勧告書には、驚くような残念な結果が記載されている。

2018年から4年がたち、この勧告書による改善結果を早く知りたいが、顕著な改善結果は望めないような気がする。

 

介護に直面して、仕事との両立が無理な状況に追い込まれる人は、どの企業にも一定数いるだろう。

 

その時に、上司や人事労務担当者に相談できるかできないか、それはその会社が普段からどの程度、介護離職問題や仕事との両立について、従業員に向けて相談しやすい雰囲気を作っているか、この点にかかっている。

 

いくら法律で決まっているといえども、介護休業や介護休暇について、会社が集合研修や上司からの説明が一切なかったら、介護問題に直面した従業員は相談できるだろうか。

 

おそらく、理由を話さずに離職していく人が多いのではないだろうか。

 

コロナ禍で、リストラを考えている企業が多いことを予想すると、40代50代の介護離職を企業が歓迎していなければいいのだが。

 

 

2022.05.02

カテゴリー:介護と仕事の両立